金峰山周辺の山々Top                                                         .

盛夏
金峰,甲武信岳




夏型が安定,定期的に雷雨となる

山に負けず頑張り通した,一年女子部員

                    最近の甲武信岳ウォッ地形図
                         富士見〜甲武信岳概念図

       
酷暑の奥秩父金峰岳,甲武信岳, 女子企画山行,s42年(1967年)07月18〜22日

                           L松本弘美,sL松村進(3),m伊藤雅子,仲林幸子,平田恵子,古田和佳子,豊永真琴,
                                             沼津久美子,桧垣いく子,島田純江(1),






   奥秩父甲武信岳は奥秩父山脈のほぼ中央に位置し,甲州,武州,信州の国境稜線の境をある標高2475mの大きな岳。
     又千曲川,荒川,笛吹川の源流に当たり日本の背稜の分水稜になっている。

   今回の山行は長期合宿,夏合宿に備え,山慣れの向上,生活技術の習得,相互親睦を目的とする。
     又,1歩でも男子に近ずいて欲しいと松本の要望を受け,彼女と共に補佐として参加。基礎技術を中心に猛暑の厳しい山行になる。

      企画山行
   一般科目の中間試験が例年より遅れたため,今年の企画山行は比較的天気が落ち付いた時期に行われた。
     毎日,明るい日射しに快い風が頬に当たる,気持ちよい登山日和を得て,山行中は典型的な夏型気圧配置が続いていた。
     幕営地に着いてテントを張り終えると雷鳴が響き,夕立が来るといった風に,天気には大変恵まれる。

   ただ定期試験後のことでトレーニング不足もあり,最後まで苦しめられた山行になった。皆大儀そうに足を出し,遅々としてペースは上がらなかった。
     新人養成後の準合宿でもあり,自主性を重んじ,行動中は掛け声も掛けず,又眺めの良い所では長めに休みを取っている。

   これは精神的に楽だったかもしれないが行動時間が長くなり,却って疲労を増してしまったようだ。
     後半は疲労した一年生が多く,十文字峠経由を取り止め,西沢から梓川コースに変更している。
     川の瀬々らぎを聞きながら木漏れのコースを選んでだ。国師ヶ岳,富士見台,甲武信ケ岳からの展望と共に印象深かった。

                                                                   松本記

        増富―富士見平―金峰山―国師岳―甲武信岳―梓山
7月18日,
19日,
20日,
21日,
22日,
新宿=
韮崎=増富一富士見平c
c1一大弛小屋c
c2一甲武信小屋c
c3一梓山=信濃川上=小淵沢=新宿

   7月18日,   集合20:30,新宿23:45=
      19日,曇,午後一時雷雨 
           3:56韮崎5:15,山梨交通=6:10増富:40一7:15大8:00一8:40小:55一9:30金山平10:10一10:50小11:00
           一11:30小:50一12:20大13:05一13:15富士見平c1, 消燈,19:00,

      現在,韮崎=増富間の路線バスは山交タウンコーチ,又は山梨峡北交通に代行,シーズン中は瑞牆山荘まで運行,平成年度



        入山,一本目

      女子パーティ
   韮崎駅から臨時の乗合バスを終点,増富で捨て長い林道を遡る。
     真夏の強い日差しがまだ朝方だというのに,もうろうと照らし出し,干された山道は更に白熱で強められていた。

   私は女子に混ざり,パーティを組み歩みだす。体力と忍耐力を主の目的とした企画山行は今回の女子にかなりの重荷になっている。
     リーダーを松本に任せ,ただ見守るだけの私。
     ポールを除き,初めて全ての装備,食糧を1年生のキスリングに詰め込ませ行われた。

   試験ボケに夜行疲れ,それに未熟なパーティだ。
     初日は富士見平泊り,最初の1本で新宿駅で割ってしまった西瓜を食べ尽くす。

   沢淵の台地に腰を降ろし包丁を入れた。
     食卓で摂る西瓜とはひと味違うのは道端で一汗掻き食べるせいだろうか。汗を掻き塩の絡みが利いて美味い。

   陽がさんさんと照り付けていた。皆,相談してきたかのように長い髪を結い,そのうえ大きな麦わら帽子を被っている。
     それでいて型も素材も少しずつ違ったものを被っていた。




        増富―富士見平
      森林限界へ



猛暑の樹間から覗く  ,




                  森林限界と富士見平cs


   やはりペースは上がらない。
     荷は重く,熟する肌に汗は滲み,不快な装いで重そうに足を動かしている。
     仲林が軽い熱射病に係かる。金山で軒を借りて1本取った。日陰に寝転び,ほっとしたようにくつろぐ彼女達。

   凪のようの所にも時折,快い風が運ばれてきた。それもよほど注意しないと分からない程,そっと頬を撫ぜてくる。
     それを見逃さない彼女達。いい風だ。もっと吹けばよいのにと桧垣が言って又,寝転んだ。

   瑞牆山荘から富士見平に入る白樺林,そこは心を晴れ晴れとさせる蒼空を背に瑞々しい緑に満ちていた。
     この先は樹海に覆われた薄く暗い深い森に包まれ,陰りも多くなる。
     特に東梓までの自然林はガスに包まれると幻想的になり,,1つの枝々,木々の絡みがなんとも云えぬ風情をかもち出していた。

   1時,富士見平にでる。気が付かぬ間々翳ってきた日差し,この白樺林の森には上空に積乱雲が覆い真近に迫りつつあった。
     そして設営を終える屋や否や,雷鳴と共に雨が落ちてきた。




     富士見平―大弛小屋
        , 金峯山と五杖岩

    7月20日,曇夕方一時雷雨 起床3:20

       富士見平Ts1, 5:50一6:30小:40一17:15大日小屋:35一8:15大日岩:30一9:10小:25一10:05森林限界:25一11:15小:30
       一11:45金峰山12:30一13:20小:30一14:05朝日岳:20一15:15小:33一15:58大弛小屋c2, 消燈19:30,



          金峰山
                            五杖岩
       瑞牆を見下ろす


      始まる女子の底力
   ポールを除き全装備,食糧を1年生が持つのは,僕の記憶では女子パーティ,初まって以来だと思ふ。それだけ男子が参加し補助していた。
     かなり重荷のボッカ山行だ。ペースは上がらない。それでもバテても,それを補う巧みなムードができていた。

   全員がそれとなく,或いは意識して落伍しそうな者を引っ張り上げている。
     仲間同志の和というか,彼女達の長所が山となると生まれるのだろうか?

   昨日より調子は少し上っているとは云え,夏合宿は道中も長く苦労するだろう。
     今回の山行こそ,本当の地味な陰の力を生み出し,気力を少しでも伸ばさなければならない。

   森林限界でペースが乱れ,行動時間は大分延び,大弛峠まで10時間も費やしていた。
     それでもキャンプサイド,大弛小屋に着けば今までの苦労も忘れ,てきぱきと炊事に精をだしている。男子との違いがここにある。
     頼もしい女の子ではあるまいか。何処に,こんな底力を秘めているのだろうか。




               大弛小屋―甲武信小屋
       ,




      原生林の稜線,国師岳タル付近


   7月21日,曇 起床3:20
      大弛小屋Ts2, 5:55一6:50国師,手前コブ,7:05一国師岳一8:10小:30一10:30東梓:55一1:35大12:15一12:30富士見台:55
      一13:55小14:05一14:50小15:00一15:52甲武信岳一16:10甲武信小屋c3, 

      奥秩父の森
   朝方,一時晴れ渡った空も,又すぐガスに包まれ,ブヨと蜘蛛の巣に悩まされる道中になる。
     国師岳から縦走路, 急に道巾は狭まり樹林の湿った陰る香りが山深さを漂わしていた。
     奥秩父の素晴らしいブナの原生林,私が今まで知らなかった所に,奥秩父の深い樹林帯が延びている。

   ただトップを歩く故,蜘蛛の巣とブヨが多いのが7月の奥秩父の難点だった。目立つ金峰山の岩峰群とも離れ,地味過ぎる山稜を歩んでいる。
     それが却って,この山径の良さを惹き立てているかも知れない。

   今日の松本の考えは登り45分,下り1時間と実働が長くなっている。一年生にはまだまだ応用の利かぬ歩き方だった。
     キャンプサイドに着くと今日も決ったように夕立を迎えていた。消燈21:30




      甲武信小屋―梓山

                     十文字峠付近,原生林

    7月22日,晴後曇,午後一時雨 起床,4:00

       甲武信小屋Ts3, 6:10一6:35山頂:55一7:15千曲分岐一7:45小:55一9:23小:43一10:37川上区東毛飯場
       一11:10十文字峠との分岐12:00一13:32梓山14:00,千曲バス(川上村営バス)=15:00小海線信濃川上16:16=17:27小淵沢:30
       =20:35新宿,


    西沢


      下山の歓び
   下山日,伊藤,沼津が吐き気を催し,どうも毎日替る々不順を訴える者がいる。体がまだ山と噛み合っていないようだ。
     食事も充分摂れず,大事を取って下山は千曲川本沢コースに変更した。強い陽差しを避け,陰る谷間にコースを取っている。

   再び甲武信岳に立ち,清々しい夏の朝を満喫した。
     雲海に浮かぶ富士の姿も見事だがカラッとしてバサバサしない朝の瑞々しい大気が快い。


   本沢コースは前日の縦走路を千曲分岐まで戻り,梓川沿いを辿ることにした。
     確り踏み締められたした踏み跡だが擦れ違うハイカーは全く見られなかった。多くの者は尾根沿いの十文字峠へ下るのだろう。
     沢沿いの歩き易い落葉径,誰もが好む景観が続いている。

   何回か丸太を渡り,今は廃道化した林道にでる。崩壊した飯場は荒れ放題の雑草に覆われ,それが小平地に芝のよう生い茂っていた。
     もうバテバテの一年生も下山の包量感に酔い始めていた。

   森を流れる小川は強い陽射しから木洩れ日に変わり,樹間から漏れる陽射しは彼女達を守るよう周りを明らめ,僕を照らしていた。
     歩むテンポも良くなってきた。

   三頭,裸馬が寄って来た。フキを採る叔母さんに会い,分岐から梓川右岸の長閑な田園に入り込む。
     牧草から畑,水田へと周りの景色が変わると,広々とした渓畔が広がってきた。

   小雨が降り始めた。乾き切った大地を洗う景観は体が少し濡れるも気にするものでなかった。
     却って気をよくしている。もうバス停も直い。彼女等の心も弾みだす。


   時間待ちで信濃川上駅前で呑んだビール,
     呑めぬ呑めぬと言いながら拒みもせず,1杯のビールでタコが茹で上がったように赤面する仲林に島田,

   口数も増し,皆の顔は桜色に染まっている。
     ただ付いて来ただけのような苦しい山行だったのに,誰もが微笑を浮かべ,心もろとも赤からめていた。

   次回は夏合宿, 上手い努力の積み重ねが春合宿の女子ツァーの行動範囲を広げることになる。
     春期に家形ヒュッテに連れて行きたいと思っている。その為に個人山行,ヒュッテ修理等は今まで以上に参加してもらねばならないが。
     私の女子に対する今の目標は積雪期に女子がまだ1人も出向いていないヒュッテに入ること。その期待ばかり募る。




    甲武信岳山頂
   3泊4日,典型的な夏型気象
    島田,仲林,古田,平田,桧垣,前列は沼津,豊

食糧献立, 19日,弁当,弁当,カツ丼(カツ,卵,玉ネギ),
       20日,油揚,玉ネギの味噌汗,納豆, 食パン,ジュース,夏ミカン, 野菜炒め(キャベツ,玉ネギ,人参,ピーマン,コンビーフ),長ネギのコンソメ,
       21日,中華スープ(長ネギ,ベーコン),煮豆, フランスパン,ジュース,夏ミカン, ニューギリヤ(ピーマン,ナス,コンビーフ),長ネギのコンビーフ,
       22日,長ネギのラーメンライス、タクワン, ミリン干しのご飯,キュウリ,
       停滞,ワカメ,玉ネギの味噌汗, チャーハン(玉ネギ,ソーセイジ),長ネギのコンソメ, ポタージュ(コンビーフ,玉ネギ,ジャガイモ,人参),タクアン,
       行動食,カンパン,氷砂糖, ピンチ食,レーズン,コンデンスミルク,蜂蜜,

装備,    テント(5,6人用)×2,ラジウス3,石油3リッター
医療品,   内服薬,スルキシン1,アスピリン1,ロイドマシン1,クレオソート1,感冒薬1,新グレラン1,整腸剤(正露丸)1
       外用薬,マーキュロ液1,オキシフル1,レスタミン軟膏1,ヨードチンキ1,セソール1,Gペニシリン1
       他,衛生材料

                                                               真夏の金峰,甲武信岳Top